神経症と鍼灸の関係
神経症とは何?
鍼灸の施術はさまざまな症状に対して、活用できるのが特徴です。その中でも、一般的な認識とは違い、心因性のものに対しても、有効に活用できます。それが神経症です。
一般的に神経症とは、「心因性に生じる心身の機能障害」という形になるでしょう。心因との関係性が確認される特有の症状ということです。なんとなくわかりにくいですよね。
例えばこう考えてみてください。ストレスが強くかかるようなことが頻繁に起こるとします。そのたびに、頭痛や胃痛などが起こるとしたらどうでしょうか。ここには一定の関連性があると判断できるでしょう。これを神経症と呼ぶわけです。
もうすこし病名的に分類するには、WHOの分類が役に立ちます。
不安障害
強迫性障害
恐怖神経症
ヒステリー神経症
心気症
抑うつ神経症
離人症
この辺りの病名は、すべて神経症といえます。ここに鍼灸が役立てられるというのが、重要なポイントです。
不安神経症と鍼灸
今回は不安神経症と鍼灸を考えてみます。
不安神経症とは、外的な刺激がないのにもかかわらず、不安に感じることです。これが長期になる場合もありますし、突然発作のように強い不安が表れて、パニックに陥るようなケースも含まれます。
実はこの2つは別々に考えられており、前者を全般性不安障害と呼んでいるわけです。後者はパニックになることから、パニック障害として知られています。
これに対して、鍼灸の施術が有効に働くことが、これまでも様々な機関で研究されてきたのです。
このままだとわかりにくいですよね。まず、なぜこういった状態になりやすいかを考えてみましょう。不安に襲われるような状態では、自律神経のバランスが崩れています。自律神経は自分で調節するのは難しい部分であり、バランスを崩すと肉体的にも精神的にも均衡を失いかねません。人間の治癒力の部分でも、自律神経のバランスが大切です。
自律神経は、交感神経と副交感神経に分かれます。単純に興奮状態になる時は、交感神経が優位です。リラックスしているときは副交感神経が優位に立つわけです。これは天秤の関係と思ってください。どちらも優位になるようなことはなく、あくまでもバランスの上に成り立っているわけです。
ストレスがかかると、交感神経が優位に立ち、自分を守ろうとします。防衛本能ですね。この状態が長く続けば、強い負担も生じるわけです。これが神経症状を起こしやすくなる原因の一つとして考えられます。
鍼灸の施術では、自律神経を整えることが重要です。体のバランスをとりつつ、自分自身が持っている治癒力を最大限発揮してもらいます。この流れは神経症にも対応できるわけです。
不安が襲い掛かってくると自分の中でバランスが取れなくなり、パニックを起こす人もいるでしょう。ここで普段からバランスがとれる人は、パニックになっても回復が速いのです。長期にわたって不安を感じている場合にも、バランスをとりなおせれば、気にならないようになっていきます。
大事なことは、いきなり効果が表れるわけではありません。徐々に体質を改善していく必要があるため、時間をかけて対処していくのが、鍼灸としてもとても大切です。